いまや夫婦の3組に1組が離婚する時代。そのぶん、離婚調停のケースが増え、探偵事務所には離婚調停に必要な証拠集めの依頼が舞い込むことになります。
離婚調停を申し立てする理由は、妻の側からは「性格の不一致」「生活費を渡さない」「精神的虐待」などで、夫の側からは「性格の不一致」や「妻の不倫」などです。
不倫が証明されれば、離婚は被害者(不倫をされた配偶者)に有利な条件で成立します。
でも、加害者(不倫した当人)が離婚を申し立てることもできるのです。
それは、一体どういうことなのでしょう。
昔は、浮気をしている夫からの離婚調停など、裁判所は門前払いでした。浮気亭主の言い分など論外だったのです。
しかし、最近は調停も行うし、本裁判になり、数年もすれば離婚の判決が出ることがあるのです。
裁判官らの意識が様変わりし、夫が「妻がセックスに応じてくれなかったから不倫相手と数年間、一緒に住んできました」と訴えれば、「夫婦の形骸化」を認定し、子どもの養育費や妻への慰謝料さえ約束すれば、夫からの離婚の申し出を採決するのです。
つまり、不倫をはたらいた夫が嘘八百を言って「夫婦の形骸化」を主張しても、その虚偽を覆せなければ、妻は負けて離婚が成立してしまうのです。
また、これは大げさな例ですが、昔、こんな夫がいました。
不倫のあげく妻子を捨て、若い女性と暮らし始めた夫がいました。
それなのに、その後で不倫相手のその女性に浮気されてしまったのです。
夫は振られた若い女性が忘れられず、彼女をさんざんストーカーしたうえで、なんと、捨てた女房に詫びを入れ、こともあろうに、不倫した若い女性から精神的損害を受けたとして、慰謝料を求める訴えを女房に起こさせたのです。
その女性と夫の不倫関係の証拠は、もちろん、当の夫が苦もなく集めました。裁判の結果、若い女性は、女房ならぬその夫に、200万円の慰謝料を支払わされることになりました。
つまり、浮気したのに浮気相手からお金をせしめたのです。
いやはや、離婚訴訟の勝者には、いろんな人がいるんですね。